業界をけん引する「インターネットの雄」が挑む新しいチャレンジ
好奇心をもって技術を探求し続ける「技術者としての資質」が根底に必要
株式会社サイバーエージェント 執行役員 AbemaTV 開発局 局長 Norishige Nagase
インターネットテレビ局『AbemaTV』が開局してわずか5ヵ月で800万ダウンロードを突破するなど、上々の滑り出しを見せているサイバーエージェント。同メディアの開発責任者を務めるのが、執行役員の長瀬氏だ。同業務を行いつつ、グループ全体のエンジニア採用や組織戦略を担当。エンジニアが30~40名のころから技術部門を見てきた同氏が考えるキャリア論を、『AbemaTV』の開発秘話も含めて聞いた。
※下記はTech通信Vol.05(2016年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
ゼロからイチを生み出すチャレンジングな取り組み
―どのようにして『AbemaTV』を開発していったのですか。
最初にスタートしたのが、去年の3月ごろ。10名くらいの少人数で開発を始め、いまのアプリの原型になるプロトタイプの開発を10月くらいまで行っていました。いまの「ヨコ型アプリ」の原型に行きつくまでに、100以上の試作品をつくりましたね。原型が決まってからは、開発メンバーを一気に30名増やし、4ヵ月かけて不眠不休で開発しました(笑)。
そもそも、インターネットの技術でテレビ型視聴を再現すること自体ものすごくチャレンジングな取り組み。たとえば通常の動画サービスでは、ユーザーが見たいと思ったときにスタートボタンを押して再生しますよね。一方このサービスは、あらかじめ編成された番組表に従って映像を届けるというテレビ型のモデル。それを実現しつつ、いかに“サクサク”動画が見られるようにするかは技術的に難しかったですね。
―技術面での特徴はなんでしょう。
配信やサーバ周りはマイクロサービスといわれる構成を組んでいて、Google Cloud Platform 上で動いています。マイクロサービスを構成するうえでDockerと呼ばれる技術であったり、できるだけ自動化するための仕組みも導入していますね。
アプリに関しては、裏側のアーキテクチャにFacebook社がつくったFluxを導入。アプリ開発にこのアーキテクチャを採用することは大きな挑戦でした。
―“エンジニア黎明期”から技術部門をマネジメントしてきた長瀬さんが考えるキャリア論について聞かせてください。
当社で多くのエンジニアを見てきて思うのは、つねに好奇心をもって技術を探求し、技術者としての自己実現を楽しんでいる人は年齢に関係なく活躍していますね。「ひと月にいくらあげるから本を買いなさい」「カンファレンスに行くことを推奨します」というような取り組みも大事ですが、優秀な人ほどとっくに自分でやっているんですよ。「好奇心が強いから勝手に動いちゃう」という具合に。そういう特性を僕は「技術者としての資質」と呼んでいます。
―その“資質”が重要なんですね。
ええ。たとえ仕事では使わない技術でも、スキルアップのために自主的に勉強したり、勉強会に参加したりする。そうした資質に基づく行動により、身につけた技術力が根底にある。そこにコミュニケーション力やアイデアを発案する力を上乗せしていくことで、さまざまなキャリアが描けるのではないかと思います。
「エンジニアには夢がある」それを広く伝えていきたい
―サイバーエージェントではどんな働き方ができますか。
「 技術者としての資質」があると認められたうえで「こういうことにチャレンジしたい」と手を挙げれば、たいていのことは実現できると思います。「新規事業の企画から開発までやりたい」「新たな技術を使って基盤のサービスをつくりたい」など、多種多様な開発環境を提供できます。『AbemaTV』のようにゼロから新しいモノを世に出すこともできますよ。
また、多くの子会社があり、エンジニア同士のヨコのつながりが強いのも当社の特徴。飲み会や勉強会を通じて、技術や情報の共有を積極的に図っています。また、当社のエンジニアは海外のカンファレンスにも積極的に参加しているので、海外の情報もタイムリーにキャッチアップできています。
―長瀬さんのビジョンを教えてください。
長年この業界に携わっていますが、サイバーエージェントが市場のエンジニアから選ばれるべく「これまで以上に努力しなければいけない」と最近強く感じています。 若い世代から「エンジニアってすごく夢があってワクワクする職業なんだ」と思ってもらえるよう、会社としてつねに新たな技術に挑戦しサービスを成長させ、エンジニアが満足する待遇と環境を提供し続けたいですね。
Norishige Nagase(のりしげ ながせ)プロフィール
1975年、熊本県生まれ。2000年に法政大学大学院を修了後、NTTソフトウェア株式会社に入社。IP電話、IPv6ホームゲートウェイなどのR&Dに従事する。2005年に株式会社サイバーエージェントに入社。『アメーバブログ』をはじめ、『アメーバピグ』、ソーシャルゲーム、コミュニティサービスなどの開発およびマネジメントに従事する。2014年、「CA18」に就任。2015年、執行役員に就任。2015年から株式会社AbemaTVにて、開発局の責任者としてインターネットテレビ局『AbemaTV』のプロダクト開発に携わっている。
企業情報
設立 | 1998年3月 |
---|---|
資本金 | 72億300万円(2016年6月末現在) |
売上高 | 2,543億8,100万円(2015年9月期:連結) |
従業員数 | 3,894名(連結) |
事業内容 | メディア事業、インターネット広告事業、ゲーム事業、投資育成事業 |
URL | http://www.cyberagent.co.jp/ |
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