「世界トップ10のテクノロジーカンパニー」を目指す企業が求めるエンジニア像
まずは「この技術では誰にも負けない」というモノをひとつつくるべきです
ヤフー株式会社 CTO Chiaki Fujimon
月間総PV約700億、1日のユニークブラウザ約9,000万(いずれも2016年4~6月平均)、サービスは100を超える。ヤフーが提供しているインターネットサービスを数字で表すと、どれもが国内最大級であることがわかる。そんな同社の技術部門を率いているのが、CTOの藤門氏。新卒として入社し、技術部門のトップへ上りつめた同氏に、社内におけるCTOの役割や独自のキャリア論などを聞いた。
※下記はTech通信Vol.05(2016年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
自社がもつ技術力を積極的に発信していく
―藤門さんのヤフーにおける役割を教えてください。
どういう技術がビジネスの成功に貢献できそうか経営陣と議論したり、ビジネスの戦略をエンジニアにわかりやすく説明するのが大きな役目です。
さらに、ヤフーという会社はこれまで自社の技術に関することを積極的に発信してこなかったこともあり、いろいろ誤解されている部分がある。その誤解を解くのも私の重要なミッションのひとつだととらえ、カンファレンスなどで登壇し、自社の取り組みを発信しています。
―どのような誤解でしょうか。
たとえば「米ヤフーの日本支社では?」「アメリカで開発したサービスを日本にもってきているだけでは?」「そもそもエンジニアっているの?」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ヤフーは、国内向けにさまざまなWebサービスを提供している日本企業であり、社員の約半数であるおよそ2,500名がエンジニアとデザイナーといったクリエイター集団です。開発もデータセンターの設計からサービスのフロントエンドまで一気通貫で行っており、米ヤフーの技術にくわえて、オープンソースソフトウェアを用いた開発や、それを公開し、オープンソースソフトウェアのコミュニティ貢献も行っています。
ヤフーの技術力は高いことを理解いただくためにも、自分自身を含め、全社員に「どんどん発信していこう」と話しています。
―エンジニアはどういうふうにキャリアを形成すべきでしょう。
まずは「この技術だけは誰にも負けない」という分野をひとつつくることが重要です。ひとつの分野に長けることで、まずはチームのメンバーから信頼を得られ、それが自信につながります。また、自分が不得意な分野について周囲へ質問するハードルがすごく下がるんです。「この技術を教えられるから、その技術を教えてね」というギブ&テイクのサイクルがぐるぐる回るように。すると理解できる技術領域がどんどんひろがり、短い時間のなかで、エンジニアとして生きていくために必要な技術や知識が得られるようになるんです。
さらに、チームや部門を越えて、社内のトップエンジニアたちと、自分が若くても対等に話せるように。これはキャリア形成するうえで重要なカギになります。
―ほかにポイントはありますか。
テクノロジーチョイスを間違えないことです。私が意識したのは、『Yahoo!JAPAN ID』や広告といったヤフー全体を支える事業のど真ん中の技術を極めようとした点。技術そのものではなく、「その技術を使ってなにができるのか」「どんな可能性があるのか」を見ることが大事なんです。
トレンド技術といった表面を追うのではなく、技術の本質を見極めて学ぶことがキャリアを左右するポイントでしょう。
ユーザーの課題解決のため自ら学ぶマインドが重要
―どんなエンジニアならヤフーで活躍できるでしょうか。
ヤフーでは「課題解決エンジン」というミッションを掲げていますが、ユーザーの課題を解決するためには、新しいテクノロジーを自ら学んでいくマインドが重要です。
近年、ユーザーが抱える課題はどんどん複雑になり、そのぶん、テクノロジーの移り変わりも激しくなっています。そんな時代ですので、当たり前の話ですが、高いマインドをもったエンジニアを求めています。また、そういった人材がこれから生き残るでしょう。
当社では複数のサービスの裏側で、蓄積し続けるマルチビッグデータが大きな強み。これを最大限に活かすことで、よりユーザーの期待に応えるサービスを提供することができます。当社の大規模なリソースを活かし、世の中に大きなインパクトを与えるサービスを生み出したい。さらに「世界トップ10のテクノロジーカンパニー」という目標を掲げており、「世界で活躍したい」人にはうってつけの環境がありますよ。
Chiaki Fujimon(ちあき ふじもん)プロフィール
1980年、静岡県生まれ。2005年に筑波大学大学院を修了後、ヤフー株式会社に新卒入社。エンジニアとして『Yahoo! JAPAN ID』や『Yahoo!ショッピング』『ヤフオク!』の決済システム構築などにかかわる。決済金融部門のテクニカルディレクターやYahoo! JAPANを支えるプラットフォームの責任者を経て、2015年にCTOに就任。特定の技術について高い専門性をもった人を「黒帯」として選定・任命する同社独自の制度「黒帯」の初代認定者でもある。
企業情報
設立 | 1996年1月 |
---|---|
資本金 | 83億8,800万円 |
従業員数 | 5,830名 |
事業内容 | インターネット上の広告事業、イーコマース事業、会員サービス事業など |
URL | http://docs.yahoo.co.jp/ |
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