世界で4億9,000万ユーザーのインフラを支える技術
シリコンバレーを超える環境がある
LINE株式会社 上級執行役員 CTO 朴 イビン
全世界でのユーザー数が4億9,000万人を突破。5億人到達が目前の無料通話・無料メールサービス「LINE」。「億単位のユーザーに利用されるプロダクトづくりに携わる」。多くのエンジニアがもつ夢を、日本で実現するチャンスがLINEにはあるのだ。CTOの朴氏とサービス開発担当役員の池邉氏に、どんな開発環境があるのか聞いた。
※下記はTech通信Vol.1(2014年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
完成形のないシステムだから新技術に挑戦し続けられる
―エンジニアリングの観点からみて、LINEの成功の要因はなんでしょうか。
【池邉】 拡張性のある設計をつねに志向していたことが大きいですね。プラットフォームには完成形がありません。だから、設計のレベルアップも際限がない。エンジニア全員が「もっとよくしたい」という意識をもって、つねに改善し続けていったことが成功の要因です。
【朴】 その点、当社のエンジニアはみんな、品質に対するこだわりがあります。そして、新しいことへの挑戦を「おもしろい」と感じる姿勢をつねに保っていますね。
そうした人材を集められたことと同時に、技術者同士の連携が密であることも大きい。よりよいモノに進化させるために、どんな技術要素を活用すればいいか、みんなで考えていける環境を整備しています。
―どうやって連携を密にしているのですか。
【朴】 上司の指示や命令でプロジェクトを進めているのではなく、同僚同士が意見を出しあいながらシステムをつくっていきます。そうやって現場で仕事をするなかで、誰に実力があるかはエンジニア同士なのでわかるもの。役職を与えなくても、実力のある人が自然に中心になっていきます。
【池邉】 ミドルウェアのような現場で必要とされるツールは、現場の判断で導入できます。私がハンコを押す、といった手続きは不要。そんな自由な気風が当社にはあります。
―エンジニアが必ずしもマネージャーになる必要はない、ということですね。
【朴】 はい。本人が希望するのであれば、たとえ60歳でもエンジニアとして活躍するべきです。現場のエンジニアとしてスキルアップしていくことに、会社として支援を惜しみません。
【池邉】 誰かがエンジニアを束ねる役割をになっていても、その人にたとえば勤怠管理や稟議の承認といった管理の実務をやってもらう必要はない。それを上手にできる人はほかにいるわけですから。
「技術をきわめていこう」というエンジニアが、急にマネジメントに徹するキャリアを強制される。そんなことは当社ではないですね。
未知の領域に踏み込んでいるだから経験値は問わない
―どんな人材を求めていますか。
【池邉】 経験は重視していません。いくら経験値があっても、当社ではそれまで経験していないことをやってもらうことになる。なにしろ、未知の領域に踏み込んでいるプロダクトですから。
【朴】 経験よりも基本がきちんとできる、正しく設計ができることが大事です。そのうえで、自分が考えることを実現したいと思うマインドがあれば、活躍できますよ。
―今後の技術部門のビジョンを教えてください。
【朴】 このほど福岡に開発センターを立ち上げました。さらに台湾、韓国、中国でも同様の計画があります。アジア各地に拠点をもうけ、連携しながらリモート開発する環境をつくっていきます。それによって、シリコンバレーのIT企業を超える開発環境をアジアにつくりだしたい。
最近、当社の中途採用の面接に、シリコンバレーの大手IT企業のアジア法人で活躍している人が来るようになりました。「シリコンバレーにすばらしい開発環境があるので入社したが、アジアでは開発の仕事がなかなかできない」というのです。当社なら日本でシリコンバレー以上のことができるのです。
【池邉】 「LINEは日本で5,200万名以上のユーザーがいるから安泰ですね」。最近、そんなことをいわれる。でも、そうではない。世界中で使われるプラットフォームにするには、挑戦することが山ほどあります。そうしたチャレンジに意欲がわく人と、一緒に仕事がしたいですね。
企業情報
設立 | 2000年9月 |
---|---|
資本金 | 125億9,619万円 |
売上高 | 518億円(2013年12月期) |
従業員数 | 666名(2014年4月1日現在) |
事業内容 | 無料通話・無料メールアプリ「LINE」の運営事業、キュレーションプラットフォーム事業 |
URL | http://linecorp.com/ |
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