美容院向けの総合サービス「Beauty Producer」を企画・開発・運用
技術者ではなく“町医者”として顧客のビジネスに貢献したい
株式会社アルディート
執行役員 Junya Shibato/アーキテクト Tetsuo Yabe
Sponsored株式会社アルディート
横浜、札幌、リノ( 米ネバダ州)の3 拠点でWebシステムやアプリなどの開発・運用を手がけているアルディート。受託案件だけでなく、美容院向けの自社サービス「Beauty Producer」を提供している。これはiPadアプリを中核に、写真撮影から顧客管理、教育にいたるまで必要な機能を統合したもの。なぜアプリの枠に留まらないサービスを展開しているのか。プロジェクトを立ち上げたふたりに話を聞いた。
※下記はTech通信Vol.2(2015年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
スマホアプリが100万DLを超えても得られなかったもの
―なぜ「Beauty Producer( 以下、BP)」という自社サービスを始めたのですか。
柴戸 「誰かに心から喜んでもらえることをやりたい」と強く思っていたからです。私は以前、明治大学と共同で「BestFace」という画像加工アプリを開発。100万ダウンロードを突破するヒットになったのですが、誰かに心から喜んでもらっている実感を得られなかったのです。
そんなとき、美容院業界の課題を知りました。美容師の方々は毎日遅くまで業務後に練習をしていますが、なかなかその努力が報われていないと聞いたのです。業務効率化も進んでいないので、私たちの技術が役に立つかもしれない。そんなふうに考え、BPを企画しました。
―サービスの内容を教えてください。
矢部 iPadアプリを中心に、美容院の顧客満足度を向上させるためのサービスをそろえています。サロンのブランディングや空間デザインなどラインアップは拡大中ですが、おもな機能としては3つあげられます。
まず写真撮影。美容院では顧客のヘアースタイルを画像データとして残しておらず、担当スタッフの記憶で「いつも通りで」「前回よりも前髪を2センチ短く」といった要望にこたえています。そこで、施術前後の画像を簡単に保存・確認できるようにしました。
次に顧客管理。カルテを電子化してPOSと連携させることで、予約管理などの手間を省くことができます。
そして教育。トップスタイリストの技術や正しいシャンプーの手順などを動画で配信し、学べるようにしています。
―システムとしての機能だけではなく、コンテンツまで提供しているわけですね。
柴戸 それが必要とされているからです。スタッフの技術講習はOJTが中心で、仕組み化されていない。複数店舗を抱えている場合、指導者が各店を回るのも大変です。
矢部 いま取り組んでいるのは「スナックサイズラーニング」といって、5~10分程度の短い動画を何度も見てもらって技術を刷りこんでいくもの。今後はカリキュラムとして体系化して、どのような順序で学ぶべきかまで提示する予定です。
現場の運用実態をふまえたセキュリティ対策
―開発や運用において工夫している点を教えてください。
柴戸 現場の声を聞いて、品質を向上させることです。私たちは美容院のスタッフではないので、本当の課題を見つけられません。そこでリリース初期に導入してくれた京都や名古屋の美容院を訪問して、改善点を徹底的にヒアリングしました。
それから“機能メタボ”の状態に陥らないように気をつけています。反対に「予約管理はコレ、写真はコレ、POSはコレ」という具合に、それぞれのツールが独立して存在すると、使いこなすのが大変です。これまで「点」でやっていた仕事を「線」や「面」にしてつなぐイメージで開発しています。
矢部 技術的な面では、現場の運用実態をふまえたセキュリティ対策を講じました。たとえば端末が持ち去られたり、パスワードを他人に教えてしまったりする場合に備えて、情報は端末に保存していませんし、ログイン時の端末自動識別やワンタイムパスワードの利用などにも対応しました。
また、AWSとほかのクラウドを組みあわせて、負荷分散とコスト削減を実現しています。
―美容院からの評判はどうですか。
柴戸 最初に好評をいただいたのは、カスタマーサポートの回答の速さでした。ルール上は3営業日以内に回答すればいいのですが、札幌のサポートセンターが2時間以内の回答を続けたのです。くわえて、「iPadの使い方がわからない」「無線LANの設定がわからない」といったBP以外の相談にも親身に応対。こういったアナログな面がきっかけとなり、サービス全体への信頼も得ることができました。
矢部 お客さまの課題、ボトルネックは常に移動しています。その要望の変化に誠実に対応していると、感謝の言葉だけでなく次の要望もいただけますね。また、私たちが想定していない使い方をしているお客さまもたくさんいました。そのため、変更の要望が多く入りそうなところはWebシステムで作成しています。
―今後の目標を聞かせてください。
矢部 自社サービスは仕様書通りに開発するのではなく、自分たちで決めたものがカタチになって世に出ます。そして、お客さまの生の声を聞きながら改善をくりかえしていく。その喜びを感じながら、自分自身も成長していきたいと思います。
柴戸 “町医者”のような存在になることです。町医者は患者のことをよく知り、適切な処方をします。また、必要なときは協力をあおいで、大きい病院を紹介する。それでいて、技術の習得にも貪欲です。同じように私たちも、技術者として機能を提供するだけではなく、幅広くお客さまのビジネスに貢献していきたいですね。
Junya Shibato(じゅんや しばと)プロフィール
1978年、福岡県生まれ。2000年に明治大学を卒業後、大手IT企業に入社。2005年に株式会社アルディートへ入社し、Webサービスやアプリの開発を手がける。明治大学と共同開発した画像加工アプリ「Best Face」は100万ダウンロードを突破。2012年、執行役員に就任。自社サービス「Beauty Producer」の責任者を務めるかたわら、エンジニアとしても開発に携わっている。著書に『実践WebデザインjQuery+CSSフレームワークでサクサクつくる「動き」と「仕掛け」』(MdNコーポレーション)がある。
アーキテクト Tetsuo Yabe(やべ てつお)プロフィール
1986年、神奈川県生まれ。2006年株式会社アルディートへ入社。Webサービスの開発やインフラ構築などの業務を担当した後、自社サービス開発の中心メンバーとして活躍。「Beauty Producer」では技術者のリーダーとして、開発面・インフラ面の双方を統括。記事協力に『実践WebデザインjQuery+CSSフレームワークでサクサクつくる「動き」と「仕掛け」』(MdNコーポレーション)がある。
企業情報
設立 | 2001年10月 |
---|---|
資本金 | 1,270万円 |
売上高 | 20億円(2014年2月期) |
従業員数 | 55名(2014年12月現在) |
事業内容 | Webシステムサイト構築、Webアプリケーション開発、スマートフォンアプリ開発、システム構築におけるソリューション提案およびコンサルティングなど |
URL | http://www.ardito.jp/ |
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