※下記はTech通信Vol.2(2015年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―社内の環境づくりで意識していることはありますか。
人と人が積極的につながるような取り組みを行っていますね。たとえば、席の入れ替えや部署間の異動をひんぱんに実施。そのため、社内では部署や役職の垣根を越えて活発にコミュニケーションがとれています。
さらに、メンバー同士で遠足に出かけたり、サッカーリーグに参加して試合をしたりといったイベントも行っていますね。
当社の業界はエンターテインメントなので、楽しく働いてもらわないと楽しいプロダクトは生まれないと思っています。そのため、「仕事やプライベートでこんなに楽しい仲間や環境で過ごしている」というモチベーションづくりはかなり意識してやっています。
「DeNA Quality」を土台に総合的な評価を行う
―評価制度について教えてください。
基本的には3つの基準で評価をしています。1つ目はパフォーマンス。2つ目はケーパビリティ。いわゆるその人自身がもつ能力ですね。そして、3つ目が「DeNAQuality」をクリアしているかです。「 DeNA Quality」はDeNAオリジナルの判断基準。チームワークとコミュニケーションを大切にし、仲間への責任を果たす「透明性」や、階層にこだわらず、のびのびしっかりと自分の考えを示す「発言責任」など、全社員に求められる5つの姿勢や意識を掲げています。
こうした3つの要素を総合的に判断して、評価するのです。ただ、土台には「DeNAQuality」があり、パフォーマンスやケーパビリティがどれだけ優れていても評価されません。基準を満たさなければ改善を求めますし、改善ができないのであれば辞めてもらいます。当社は楽しく働くための環境づくりを行っていますが、なかよし集団ではありません。会社としてきちんと収益をあげるため、そこはドライに経営判断をくだしています。
「WHY」を重視してプレゼンを行うべき
―日本のベンチャー企業がシリコンバレーで成功するために、必要なことはなんでしょう。
自社のビジョンやバリューをしっかり発信することですね。日本の経営者は、「WHAT」や「HOW」にフォーカスし、「WHY」はあまり重視しない傾向にあります。つまり、「なんの商品・サービスをどのように提供するか」は熱心にプレゼンするんですが、「なぜその事業をやる必要があるのか」の説得材料が抜けがち。こちらの会社は、すべて「WHY」からプレゼンが始まります。
とくにわれわれがあつかっているモバイルゲームでは、フラッグシップとなるようなタイトルが出ていません。そのようななかで自社をアピールするには、しっかりビジョンとバリューを文字に起こして伝えていかないとダメなのです。
―シリコンバレーへの進出をめざしているIT ベンチャーの経営者にアドバイスをお願いします。
まずは、どのような形態で進出するかをじっくりと検討してください。マーケティングの拠点だけをもち、開発拠点は別のエリアにするという選択もあります。リーズナブルなスパンでどこまで達成したいかを計画し、取り組むのがベターでしょう。
また、すぐに成果を出そうと思わないことです。たとえ2度3度と失敗しても、正しい戦略と正しい判断を行っていけば必ず成功するのです。ようは、それまで続けられる忍耐力と資金力があるかどうか。当社も、成功するまで必ずやり遂げてみせます。
Shintaro Asako(しんたろう あさこ)プロフィール
1974年、埼玉県出まれ。南カリフォルニア大学Leventhal School of Accounting卒業後、アーサー・アンダーセンLLPに入社し、監査・税務顧問業務を担当した後、KPMG LLPにて監査担当シニアマネージャーに就任。その後、米国でバイオテクノロジーを手がけるメディシノバ・インク副社長兼CFOなどを経て、2011年にM&AでDeNAの米国子会社になったngmoco(現:DeNA West)にCFOとして入社。2013年にCEOに就任するとともに、Mobage統合事業本部Westリージョン事業本部長を兼任する。アメリカ公認会計士協会に所属するカリフォルニア州公認会計士。
企業情報
設立 | 2008年6月 |
---|---|
事業内容 | ゲーム、プラットフォーム、eコマースなど |
URL | http://www.denajobs.com/ |
こんな記事も読まれています
記事を全て見る※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。
Tech通信は活躍しているエンジニアの職場を取材紹介する、エンジニアのキャリアアップ情報誌です。
定価:1,066円(税込)