※下記はTech通信Vol.03(2015年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
数学者を目指した学生時代
―どんな学生時代を送っていたんですか。
大学では離散数学を学びました。離散数学はアルゴリズムやコンピュータサイエンスに近接する分野ですが、当時はプログラミングなどにはあまり関心がありませんでしたね。大学で受けたコンピュータサイエンスの授業が簡単すぎてつまらなかったんです(笑)。
―ITビジネスに進んだきっかけを教えてください。
カリフォルニアのスタートアップで働いていた友人からの誘いです。それは、友人が勤める会社を買収したベンチャーで一緒に働かないかというもの。そして、休日や仕事終わりの時間を利用して友人と共同でつくった趣味のビデオゲームがもとになって最初のスタートアップを立ち上げました。
起業志向があったわけではありません。むしろ、考えたこともありませんでした。大学の教授から学者の道に進むようアドバイスされたこともあり、卒業後の進路は数学者を目指していました。でも「本当に数学を自分の仕事とすべきなのか」そんな疑問が浮かんでいたときに、友人の誘いがあったんです。
あのまま数学の道に進んでいたら、Boxで働くことはなかったでしょうね。そこで教訓がひとつ。「大学の教授のアドバイスは鵜呑みにするな」(笑)。
革新を起こす新しい価値
―その後、複数のスタートアップを設立したそうですね。
最初の起業を含めて、6社のスタートアップを設立しました。Webページのエディター、個人情報管理ツール、アプリ構築のエンジンなど事業内容はさまざま。そのうちの1社がGoogleに買収され、Google Docs(注:現在のGoogleドキュメント)の基盤になりました。
買収後、私自身もGoogle に移り、Engineering DirectorとしてGoogle Docsの開発やローンチに携わりました。5年間のGoogle 時代では、Gmailなどのさまざまなサービスに携わったほか、ベンチャー投資のGoogle Venturesで投資業務とオペレーション業務の両方にかかわりました。この2つの業務に携わった経験があるGoogle Venturesのメンバーは、当時、私だけでした。
―Boxにジョインしたきっかけを教えてください。
その後、BoxのTechnical Advisory Board(注:社外の専門家などから構成される技術諮問委員会)に参加し、Aaronたちと出会ったことです。彼の信念や人柄、企業文化などに魅かれ、Boxへのジョインを決めたんです。
こんなジョークがあります。「Aaronが起業家になっていなかったら、いまごろは刑務所行きになっているに違いない」(笑)。ちょっと物騒な冗談だけど、だれも思いつかないアイデアを次々と考えつくパワフルな人間だって意味なんだ。
―日本の若者へのアドバイスを聞かせてください。
なにかに情熱をもっているなら、それを怖がらずに実行すべき。革新を起こす新しい価値は、最初は他人から評価されないかもしれません。しかし、それがベストなものであれば、必ず市場に受け入れられます。だから、ひるまず情熱のまま、信じる道を突き進んでほしいですね。
企業情報
設立 | 2005年 |
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事業内容 | クラウドストレージサービス『Box』の運営など |
URL | http://www.box.com/ja_JP/home |
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