日米5,500万ダウンロードを突破。快進撃を続けるCtoCベンチャー
つねにアウトプットを繰り返し 人より一歩深く技術を掘り下げよう
株式会社メルカリ 執行役員CTO Sotaro Karasawa
2013年に創業し、いまや日本最大のスマートフォン向けフリマアプリを運営しているメルカリ。その勢いはとどまることを知らず、ダウンロード数は日米あわせて5,500万を突破している。急成長を続ける同社の技術部門を束ねているのが、昨年の5月に執行役員CTOとして参画した柄沢氏だ。まだ創業間もない同社のエンジニアに対し、どのような取り組みを行っているのか。詳細を聞いた。
※下記はTech通信Vol.05(2016年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
急成長する組織の整備を技術面で構築してきた
―直近で、エンジニアのために取り組んでいることはなんでしょう。
たとえば「Be Professional Day」というのがあります。1ヵ月に1日、通常業務をストップして「リファクタリングをする」「ドキュメントを書く」といった、普段は後回しにしていて、なかなかできないことに集中してもらう試みです。
また、8月には各エンジニアがいま取り組んでいる開発などを発表しあう社内限定のエンジニアイベント「メルトーーク!」を開催。このように、エンジニアの可能性を広げるための取り組みを実験的に行っています。
―ユニークな取り組みですね。
まだ、試行錯誤の段階ですよ。もともと私が入社する前は、CTOが不在でした。2013年の創業以来、急成長してきましたが、個々のエンジニアの能力が高いため、それぞれがチカラ技で事業を伸ばしている状態。そのぶん、組織や環境、制度などは整えようとしていたものの、十分とはいえませんでした。それを、私が現場のマネージャーと協力しつつ、組織的に整理し体系化。言うなれば、「人が増えても困らない組織の基盤」をつくっていったんです。
その後、採用を徹底的に強化し、ようやくカタチになってきたところ。つぎは「プロダクトをさらに伸ばすためになにができるか」に取り組むフェーズだと考えており、社内イベントなどはその一環だといえるでしょうね。
―エンジニアがキャリアアップしていくうえで大切なことはなんでしょう。
ひとつは、とにかくアウトプットをしていくことです。ブログに書いたり、自分でWebサービスをつくって実際にユーザーに使ってもらうなど、方法はいろいろあります。「人前に出す」という前提だと、そのぶん正確なインプットも必要になるわけですよね。そのサイクルを回していくことで、知識の幅も広がっていくんじゃないかと思っているんです。当社でも、自発的に発信しているエンジニアは数多くいますよ。
―ほかにもありますか。
他人がやっていることより、一歩深く掘り下げることです。いまは、ソフトウェアやアプリはわりと簡単につくることができます。そういうことを行っているエンジニアが1,000人いるとすると、自分が使ったライブラリのソースコードを読もうとする人は100人くらい。そのライブラリの中身に対して、修正をくわえる人は10人…というぐあいに減っていきます。1,000人のなかに埋もれないスペシャリストになるには、できるだけ深く掘り下げる必要があるし、私もこれをつねに意識してキャリアを積んできました。
まずはアメリカからグローバルに戦っていく
―今後のビジョンを教えてください。
海外展開に引き続き力を入れていきます。当社は2年前からアメリカでも展開しているのですが、最近、インフルエンサーのなかでバイラルしたこともあり、アメリカでのダウンロード数が飛躍的に上昇。現時点で1,500万ダウンロードを突破しています。
この勢いを落とすことなく、イギリスでも立ち上げの準備を行っており、ゆくゆくはヨーロッパ各国や東南アジアも視野に入れています。ちなみに、日本からアメリカにしょっちゅう出張したり赴任するケースが増えていますので、グローバルに働けることに魅力を感じて当社に入社するエンジニアも多いです。
また、『メルカリ』以外の新しいプロダクトも生み出していきたいですね。
―エンジニアやエンジニアを目指す学生にメッセージをお願いします。
先ほど言ったとおり、アウトプットはとても重要。どんな領域でもいいので、自分のつくりたいモノをつくって人に使ってもらうという経験を若いうちからどんどんしてほしいですね。それを繰り返すことで、エンジニアとしての成長につながりますから。
Sotaro Karasawa(そうたろう からさわ)プロフィール
1985年、埼玉県生まれ。在学中の2007年、エンジニアグループnequal を立ち上げ、サービスなどを運営。中央大学大学院修了後、グリー株式会社に入社。2011年、株式会社クロコスを立ち上げ、CTOに就任する。日本初のFacebook社「認定マーケティング開発社」となる。2012年、クロコスをヤフー株式会社へ売却。その後もヤフーのグループ会社としてクロコスの事業成長と並行して、ヤフー自身のソーシャルの展開、新規事業を担当。強い開発組織のためのマネジメントを経験した後、2015年に株式会社メルカリに執行役員として参画。技術領域全般を統括している。
企業情報
設立 | 2013年2月 |
---|---|
資本金 | 125億5,020万円(資本準備金含む) |
従業員数 | 350名 |
事業内容 | フリマアプリ『メルカリ』の企画・開発・運用など |
URL | https://www.mercari.com/jp/ |
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