「大企業と比べて、仕事と出産・育児を両立させる制度が整っていないベンチャー企業で女性が活躍するのは大変」──。そんな既成概念をもっている人は、OZsoftでITエンジニアとして働くOomukai氏の話に耳をかたむけてほしい。同氏が「仕事と子ども」の問題に直面したとき、確かに同社には両立のための制度はなかった。だが、「なければつくればいい」。そんな決断を下した社長と社会保険労務士、Oomukai氏の3者で相談しながら産休制度をつくりあげた。「そんなスピード感と、自ら制度づくりに携われる点は、大手にはマネできないベンチャーならではの魅力」という同氏の体験談を聞いた。
―入社1年目だそうですね。OZsoftに入社した経緯を教えてください。
私はもともと趣味がガンプラとゲームなんです。ひとつのものをイチから自分でつくってカタチにするっていうのがすごく好きで。「ガンプラを部品からつくった」とか「ゲーミング用にパソコンを自作した」という話を、バイト先でしていたんです。そうしたらバイト仲間から「就職先はIT関係がいいんじゃないの?」ってアドバイスをもらったんです。
それでIT業界に興味をもつようになって。縁があって、OZsoftの面接を受けました。そのときの面接官からの質問が、「学歴や属性よりも、個人を見てくれている」と思える内容が多くて。「ここいいなあ」って思ったのがきっかけでしょうか。他社からも内定はもらったのですが、雰囲気のいいOZsoftに入社することに決めました。
―その「雰囲気のよさ」は入社後の実感でも変わりませんか。
はい。先輩も後輩も関係なく、なごやかで楽しくコミュニケーションできる職場です。趣味が同じ人だったら、プライベートで遊ぶこともあります。たまに、『ファイナルファンタジー』とかオンラインゲーム上で同僚に出会ったりしています(笑)。それから、ときどき会社でイベントがあるのも社員同士の親ぼくに役立っていると思います。
―どんなイベントなのでしょう。
たとえばサバイバルゲーム大会がありました。職場周辺の秋葉原の街を舞台に、ゲーム専用の銃を撃ちあってバトルするんです。ちなみに、私が1位をとりまして、賞品のディズニーランドのペアチケットをゲットしましたよ(笑)。
顧客から賞賛される人間力の高い集団
―おめでとうございます(笑)。でも、サブカルチャーに興味ない人には向かない職場なんでしょうか。
いえいえ。サブカルチャーが好きな人しかいないわけではないですから。そこに興味がない方にとっても、風通しがいいので、働きやすい職場だと思います。厳しい上下関係がなくて、本当に和気あいあいというか。それは、私個人の意見ではなく、顧客先へ出向いたときに担当の方からも言われたことがあります。「OZsoftから来るエンジニアは他社に比べて接しやすいし、仕事をしやすい」と。とても誇らしかったですね。
―風通しがいいことを実感したエピソードを聞かせてください。
たとえば、社長であっても、直接、メールで相談ができます。「社長だから話しにくい」とか、そういったことはまったくないんです。距離が近いように感じます。それからメンバーのスキル向上のための研修で講師を務めるMatsuiにしても、私からみれば「先生」ですが、とてもフランクに話しかけてくれます。社長もMatsuiも、私のプライベートのことも気にかけてくれていて、子どものことについての相談に乗ってくれたり。ですから、そういう上司のためにも、勉強や仕事を「がんばらなくちゃ」ではなく、自分から「がんばりたい」と思う。そんな環境だと思います。
トップと一緒につくった産休制度を利用
―なるほど。「子どものことで相談」ということは、お子さんができたんですね。OZsoftはベンチャー企業なので、仕事と出産・育児を両立させるための制度が未整備なのではありませんか。
いいえ。私のために、つくってもらいましたから(笑)。IT業界はどこでもそうですが、OZsoftでも、もともと女性社員は少なかったんです。だから、最初はなにも制度がなかった。でも、今回、私が当事者となったことで、社長がとても親身になって考えてくれました。直接、社長から顧問の社会保険労務士の方に「出産をひかえた女性社員がいるので、相談に乗ってください」と連絡してくれるのを目の当たりに。感動しましたね。最終的には社長と社労士の方と私の3人で、今後どうすればいいかを話し合い、一緒になって制度をつくっていきました。制度利用の第1号である私のケースがいい先行事例となって、これからの女性社員のために役立っていけばうれしいですね。
―では、産休・育休中はお子さんのことに専念できそうですね。
いえいえ、できるだけの時間を勉強にあてたいと思っています。具体的にはLinuxについての勉強だったり、CCNA以外の資格のための勉強ですね。IT業界は現状維持で満足をしてたら、すぐにおいていかれる世界。つねに勉強やチャレンジをしていきたい。その点、OZsoftは個人のスキルアップを全力で応援してくれる会社。たとえば私が「AWSの勉強をしたい」って言ったら、会社の方で教材をそろえてくれて。研修も受けたことで、いまではAWSの仕事もできるようになりました。「チャレンジしたい」という気持ちにこたえてくれる環境がありがたいし、努力をちゃんと認めてくれるのもうれしいです。
―育休が明けた後のキャリア目標を聞かせてください。
もっともっと仕事をがんばりたい。そして、みんなで一致団結して、もっといい会社に成長させていけたらなあと思います。ただ、大きくなってほしいっていうのはもちろんありますけど、いまの社内のいい雰囲気をこわしてほしくない。この企業風土のまま、大きくなっていってもらいたいですね。
Takao Hashimoto(はしもと たかお)プロフィール
2004年、ソフトウェア開発会社へ入社。営業に携わる。2013年に株式会社OZsoft設立、代表取締役社長に就任。
企業情報
設立 | 2013年7月 |
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資本金 | 2,000万円 |
総資金調達額 | Webアプリケーション開発、ネットワーク構築・運用、ヘルプデスク・サポート業務 |
URL | http://www.ozsoft.co.jp/ |
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