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INTERVIEWインタビュー
スタンフォード大学 Kenji Kushida × ChatWork Tomi Brooks 

スタンフォード研究者×日本発スタートアップ対談

シリコンバレーは世界への門 日本人もその扉を開け

スタンフォード大学 Kenji Kushida × ChatWork Tomi Brooks 

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日本企業のシリコンバレー活用戦略を探るコンソーシアムを主催する、スタンフォード大学のKenji Kushida氏(以下、Kenji)。ビジネス向けチャットツールを提供するChatWorkの海外市場開拓にあたるTomi Brooks氏(以下、Tomi)。じつは両者は中学・高校の同窓生。旧知のふたりに、日本人がシリコンバレーで活躍する方法を語りあってもらった。

日本のベンチャー企業をシリコンバレーが再注目

―それぞれの活動内容を教えてください。

Kenji  スタンフォード大学で、SV-NJプロジェクトに携わっています。これは「どうすれば日本企業がシリコンバレーをうまく活かせるのか」をテーマにしたシリコンバレーと日本の産学官の専門家や企業で構成するコンソーシアム。正式名称は「Stanford Silicon Valley - NewJapan Project」で、2014年10月に発足しました。

 いまシリコンバレーでは新たな起業ブームと投資熱にわいています。そのなかで日本のベンチャー企業も再注目されています。そこでSV-NJプロジェクトでは、公開フォーラムやエコシステムの研究活動、政策討議、人材交流ネットワーキングなどを通して、シリコンバレーと日本を結びつけるプラットフォームの形成を目指しています。そこで得られた成果をもとに、日本の企業や起業家がシリコンバレーをうまく利用するためのノウハウや問題解決方法を提供しています。

Tomi 新しいスタイルのコミュニケーションツールである『ChatWork』という日本発のサービスを世界展開するため、シリコンバレーで活動しています。『ChatWork』はわかりやすくいうとLINEのビジネス版ですね。仕事のメールをチャットに置き換えることで、業務の生産性を上げられるサービスです。

夕食は家族と必ずとる でもその後自宅で仕事

―シリコンバレーと日本の違いはどんなところにありますか。

Tomi まず、ワークスタイルから違います。たとえばメールの書き方ひとつでも。相手に要望がある場合、米国では単刀直入に伝えます。一方、日本では婉曲に表現します。

 私は英語はネイティブですが、育ったのが日本なのでメールの書き方は日本流。こちらに来て、米国スタイルのメールの書き方に最初とまどいました。慣れるのに1年近くかかりましたね。メールに限らず日本企業のカルチャーに不満をもらし、短期間で辞めていく現地スタッフもたくさん見てきました。

Kenji ええ、ワークスタイルはまったく違いますね。日本の場合、終業時間が過ぎても上司がまだ会社に残っていると帰りづらい。でも米国の場合、午後6時になるとさっさと帰る。家族と夕食をともにしたいから。でも食事が終わった後、夜遅くまで自宅で仕事をする人も多いのです。そのワークスタイルの違いが見えないと、お互いに誤解や不信が生じます。

―どうすれば問題を起こさずにすむのでしょう。

Kenji インサイダーとアウトサイダーの視点をもつことです。自国の文化と他国の文化、どちらも理解する。日本人はほかに比べると、他国のカルチャーに対する理解が足りないのかもしれません。というのも日本以外の外国企業の場合、自国のロジックをもち込む部分があっても、フレキシブルに対応できている。ビジネス風土の違いによるトラブルはあまりないように見えるからです。

Tomi 確かに、日本人がシリコンバレーに来ても、日本人だけのコミュニティにどっぷりつかってしまいがち。そんなことをしているのは日本人ぐらい。英語というランゲージバリアもあるのでしょう。

 私自身は、こちらに来て日本人コミュニティにどっぷりつかってしまわないようにしています。サービスのグローバルな展開を考えると、米国での人脈を開拓することが大切だからです。文化の違いがあるので、日本で成功したビジネスをそのまま米国で展開するのは難しい。米国人のなかに入っていかないと成功できないのです。

Kenji インサイダーとアウトサイダーを行ったり来たりできる人は、バイカルチャーを理解できます。そういう人が、「この国ではなにがマーケットに受けるか」を的確に判断できる人材です。Appleの製品は世界中で受け入れられ、プラットフォームは世界共通。でも、アプリは各国別のものに対応できるわけです。インサイダーとアウトサイダーの視点をもって役割をマネージしていくことが大切です。

コワーキングスペースで米国のカルチャーに触れた

―シリコンバレーで日本人が成功するにはなにが必要なのでしょうか

Tomi すぐれたインキュベーターに支援されると有利です。オフィスの提供や人材紹介サービスなどの面で充実したサポートが受けられる。私がこちらへ来て最初に入ったオフィスは、コワーキングスペース。他社の人ががんばっている姿に励まされたり、こちらのカルチャーにじかに触れられた。とても刺激を受けましたね。

Kenji たしかに人脈構築をサポートしてくれるサービスの充実は必要ですね。シリコンバレーで築いた人脈がその後の世界展開に役立つケースは多い。

Tomi ええ。私がシリコンバレーに来たのも、単に米国の市場を開拓するためだけではありません。ここを世界展開の拠点として考えているからです。

 日本企業の進出では、日本のトップが頻繁にこちらに来ることも大切です。現地のスタッフが抱いている気持ちを理解しないと、いつの間にかギャップが大きくなり、トラブルに発展しがちだからです。

大学やビジネススクールの人脈があると有利になる

―学生にアドバイスをお願いします。

Kenji ビジネスをしながら相手のカルチャーを理解するより、学生時代をこちらで過ごして身につけるほうがいいかもしれません。大学やビジネススクールで築いた人脈も重要になってきますから。

Tomi シリコンバレーは米国にとどまらず、世界へのゲートです。是非、緻密な戦略と勇気をもってチャレンジしてほしいですね。

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スタンフォード大学 アジア太平洋研究所 日本プログラム研究員 バークレー国際経済研究所 リサーチアフィリエート Kenji Kushidaプロフィール

1978年、ニューヨーク生まれ。2歳から東京で育つ。2001年6月にスタンフォード大学経済学部東アジア研究学部卒業(学士)、2003年6月にスタンフォード大学東アジア研究部修士課程修了、2010年8月にカリフォルニア大学バークレー校政治学部博士課程修了。情報産業や政治経済を研究。おもな日本語著書に『バイカルチャーと日本人』(中公新書ラクレ、アマゾンキンドル電子書籍)、『インターナショナルスクールの世界(入門改訂版)』(アマゾンキンドル電子書籍)がある。

ChatWork VP of Growth Tomi Brooksプロフィール

1979年、東京生まれ。国際基督教大学卒。株式会社NTTドコモ、株式会社シリウステクノロジーズ、株式会社メタップスを経て、2015年ChatWork株式会社へ、同社の米国での事業拡大のためVP of Growthとして参画。

Stanford Silicon Valley - New Japan Projectプロフィール

設立/2014年10月
活動内容/シリコンバレーと日本の産学官コンソーシアムの運営
URL/http://www.stanford-svnj.org/

ChatWork株式会社プロフィール

設立/2004年11月(創業2000年7月15日)
事業内容/クラウド型ビジネスチャットツールの提供
URL/http://www.chatwork.com/

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