創業7年でNY市場に上場、グローバルトップまでの道のり
禅(Zen)のカスタマーサポートでコペンハーゲンから世界へ
Zendesk CEO&Founder ミッケル・スヴェーン
2014年5月にニューヨーク市場に上場を果たし、ヘルプデスクサービスの分野でグローバルトップをひた走るZendesk(ゼンデスク)。同社のサービス『Zendesk』は、世界140ヵ国、4万5,000社に利用されており、Adobe、Disney、IKEA、サイボウズなどそうそうたる顧客企業の名が並ぶ。2007年、デンマーク・コペンハーゲンで創業。わずか100万人の人口しかない小国で、同社の挑戦は始まったのだ。いかにしてデンマークから世界進出を成功させ、グローバルトップにのぼりつめたのか。CEOのミッケル・スヴェーン氏に起業の経緯、成長の理由などを聞いた。
※下記はTech通信Vol.1(2014年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
世界140ヵ国、4万5,000社、3億人のカスタマーが利用
―御社の事業内容を教えてください。
カスタマーサポートのヘルプデスクサービス『Zendesk』を提供しています。企業にとってお客さまとのコミュニケーション手段は、メールや電話だけでなく、Twitter、Facebook、チャットなど多岐にわたっています。『Zendesk』は、複数チャネルでのお客さまへの対応を一元管理。低コストでスピーディーにサポートサービスを提供することができます。
―『Zendesk』はどのように企業から活用されているのですか。
Dropboxの例を挙げましょう。Dropboxは、毎日1,000件もの問い合わせをお客さまから受けています。それも、さまざまなチャネルや言語でアプローチしてくる。カスタマーサポートチームが、これらにそつなく対応したり共有するには、とても煩雑で時間も手間もかかってしまいます。『Zendesk』を使えば、この膨大な問い合わせを一元管理でき、スタッフ間での情報共有も簡単にできます。また、過去のサポート履歴もすべて蓄積して、簡単に検索できる。そのため、カスタマーサポートの質やスピードが向上するのです。
―『Zendesk』のサービスは世界中で使用されていますね。
ええ。当社のオフィスは、本社拠点であるサンフランシスコをはじめ、2013年3月に株式会社設立を発表した東京、ロンドン、サンパウロ、メルボルンなどさまざまな国の都市にかまえています。そして私たちのサービスは世界140ヵ国、4万5,000社、3億人のお客さまに利用していただいているのです。
―社名にはどういう意味が込められているのですか。
“Zen”は日本の「禅」に由来しています。簡素で品格があり、効率的なもの、という意味を込めています。私たちのサービスのコンセプト、サービス観を的確に表現したつもりですよ。
コンピュータが好きで子どものときから“起業家”
―ミッケルさんの起業家としての原点についてお聞きします。幼少期はどのような子どもだったのでしょう。
私はデンマークのコペンハーゲン生まれで、小さい頃からずっとコンピュータをいじっていました。コンピュータとともに育ったといっても過言ではありません。いつもコンピュータで、なにか新しいことをやろうとしていました。そういう意味では、子どものときから“起業家”でしたね。
―それからどのように起業にいたったのですか。
実際に初めて起業したのは1996年、25歳のとき。きっかけはサンフランシスコに旅行で訪れたことでした。当時、インターネットが勃興した時代で、その最先端を目の当たりにして衝撃を受けました。それで「これからインターネットの時代が来る」と。 コペンハーゲンに戻ってすぐに会社を立ち上げ、Web サイトの制作やソフトウェア開発の事業を始めました。ドットコムバブルも追い風となって、一時期は30名規模にまで成長しました。ところが2002年、ドットコムバブルがはじけてしまった。事業の先行きが見えなくなり、会社は解散しました。
―その後、Zendesk(ゼンデスク)を創業した経緯を教えてください。
会社解散後、ドイツのコンサルティング会社でカスタマーサポートのコンサルティングをしていたのですが、当時使用していたソフトウェアがひどくて(笑)。非常に古くて遅くて、しかも操作が複雑。もっと使いやすく、速いサービスを実現できないかと考えたんです。
友人に声をかけて、オリジナルサービスを開発したところ、顧客の反応がとてもよかった。そこで会社を辞めて、仲間と3人でサービスに集中することにしたんです。
スタートアップの土壌も応援してくれる投資家もナシ
―会社を立ち上げてから苦労したことはありましたか。
苦労ばかりでしたよ(笑)。自己資金だけで始めたので、運転資金に余裕はありません。まずは、コペンハーゲンに小さなロフトを借りてのスタート。30代後半の男3人で働く、むさくるしい仕事環境でした。
そして当時のコペンハーゲンは、スタートアップの歴史も文化もなかった。応援してくれる投資家もおらず、最初の2年間は苦しい時期が続きました。
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